- はじめに
- 1. On Error Resume Nextとは
- 2. On Error Resume Nextのメリットとデメリット
- 3. On Error Resume Nextの使用時の注意点
- まとめ
はじめに
Access VBAの開発においてエラー処理は非常に重要です。エラーが発生した際、処理を中断させないために「On Error Resume Next」を使用する場面もありますが、システム開発の現場ではエラーを隠蔽するような使い方はしません。エラーが発生した時点で原因を特定し、必要な対策を講じることが、長期的に安定したシステムを構築することにつながります。本記事では、On Error Resume Nextの役割と使い方の注意点について解説し、エラーの見逃しを防ぐための適切なエラーハンドリングについても詳述します。
1. On Error Resume Nextとは
1.1 On Error Resume Nextの役割
On Error Resume Nextは、エラー発生時にそのエラーを無視して次の処理に進むための命令です。通常、VBAでエラーが発生すると処理が中断されますが、On Error Resume Nextを使うとエラーを無視して処理を続けることができます。
1.2 On Error Resume Nextの基本的な使い方
以下はOn Error Resume Nextの基本的な使い方です。コードの先頭でOn Error Resume Next
を指定することで、エラーが発生しても次の行へ処理が移ります。
On Error Resume Next Dim result As Integer result = 10 / 0 ' ここでエラーが発生しても、次の行へ処理が移る MsgBox "エラー後の処理"
2. On Error Resume Nextのメリットとデメリット
2.1 メリット:エラー時のスムーズな処理継続
On Error Resume Nextを使うと、エラー発生時も処理が中断されずに次の処理へ移れるため、軽微なエラーに対して処理を止めずに済みます。例えば、大量のデータを繰り返し処理する場合、同じ原因のエラーが何度も出ると対応が難しくなるため、後続の処理や業務に影響がないと判断できる場合に限り使用するケースがあります。
2.2 デメリット:エラーの見逃しとシステムへの影響
On Error Resume Nextの最大のデメリットは、エラーを見逃してしまう可能性がある点です。エラーが発生しても処理が続くので、後に大きな障害につながる可能性があります。
3. On Error Resume Nextの使用時の注意点
3.1 使用に適した場面
On Error Resume Nextは、システム全体に大きな影響を及ぼさない場面でのみ使用することが推奨されます。例えば、先の例のようにゼロ除算であったり、型変換でエラーが発生した場合、適切なエラーハンドリングを組み合わせて使用します。
3.2 エラーの検出方法とエラーハンドリングの組み合わせ
On Error Resume Nextを使用する際は、エラーを見逃さないためにエラー番号のチェックを組み込むことが重要です。以下のように、エラー番号を確認し、必要に応じてエラー内容を記録します。
On Error Resume Next Dim result As Integer result = 10 / 0 If Err.Number <> 0 Then MsgBox "エラーが発生しました: " & Err.Description Err.Clear End If
メッセージボックスではなく、ログに出力する方法は、こちらの記事をご覧ください。
まとめ
システム開発の現場では、エラーを隠蔽せず、適切なエラーハンドリングを行うことが基本です。On Error Resume Nextの使用は、一時的にエラーを無視して処理を継続できる利点もありますが、安定したシステムを維持するためにはエラーのログを残し、原因調査を可能にする設計が不可欠です。
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